ヒット曲4を含む最新盤。全曲の詞を自ら書いているが,タイトルどおり,プラトニックなラヴソングから切ないロスト・ラヴソング,人生は波乱なものと歌う前向きソング,歌い手としての決意表明など自分の成長を自然に晒け出している点に最も惹かれる。 　　 　　現在、我が家の茶の間でちょっとした話題になっているのは先行シングルでもある(4)の「そのまんま」な歌詞だ。♪あなたがいるからママはこうやって毎日仕事を頑張ってやってゆけるの、って、そのまんまやないか-ッ!!言うまでもなく作詞は本人の手になるもの。さらに言うまでもなくアルバム全曲の作詞も本人だ(作曲の方はすべて、セイコ・マツダとリョー・オグラの共作)。人の噂もなんとやら、離婚ネタもなんのその、もう怖いモンなしの状態にターボがかかっている。辛いことばかりの人生だけど前向きで生きようと歌う(2)や未来を見つめて、しあわせ求めて歌いましょうという内容の(10)のそのまんま加減も凄い。下司の勘繰りなんて、つけ入るスキもありませんや。凄すぎる。鳥山雄司がサウンド・プロデュースを担当している「音」の方もブラコン系の曜動感をベースにした完成度の高いAORとなっている(“AOR”って死語か?)。何よりもアルバムにみなぎる安定感やたくましさが“松田聖子”だなぁ。 (杉山達) --- 1997年06月号