1999年。90年代の終末に遂に日本ならではのグランジが誕生し、しかもその首謀者たるナンバーガールは、後続バンドのみならず、ギターロックの座標軸にさえなった。この99年10月の渋谷クアトロでの「DISTORTIONAL DISCHARGER」は、ファンにとってまさにその事実の楔が打ち込まれた革命の日といって差し障りないだろう。 　　この後、日本という民族性、アンサンブルの複雑化を経てメンバーはそれぞれの道を歩むことになったが、ここでのいい意味で4リズムの、ひとつの強固な弾丸となるべくシンプリシティと、演奏への集中力、そして向井秀徳の世間や自身の矛盾を描く言葉はそのまま（本当にそのまま）ZAZEN BOYSやソロでも歌われている。その事実は何か示唆的だ。 （石角友香）